若林靖宏写真集「瞬間の夢」

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商品番号 G000517100015
定 価 ¥ 2,800
販売価格¥ 1,980
レーベル 写真集
ジャンル 日本
仕 様 総ページ120p オールカラー サイズ(cm) 23 × 27


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内容紹介
撮影:若林靖宏サイズ:AB判(23.5cm×27.4cm)
ページ数:総ページ120、オールカラー
「瞬間の夢」で若林靖宏が示したのは、まさにゲイ・アートが、ゲイという枠組みを超越した表現へと飛翔する瞬間のほとばしりであると、この写真集にて感じることができる一冊。

若林靖宏は日本のゲイ・フォトグラファーの草分けであるばかりでなく、ゲイ・アートが表現される舞台そのものを用意する役割を担ってきたプロデューサーでもある。

80年代以前、日本のゲイ・シーンにはメール・ヌードをアートとして捉え、表現していこうという方向性と水準を持ったアーティストはほとんどいなかった。もちろん、ポルノグラフィーとしてのメール・ヌードは存在していたし、ゲイというアイデンティティを迂回するかたちでそれを表現するクローゼットなアーティストは、メイン・ストリームのアート・シーンにもいた。

しかし、若林靖宏は状況に臆することなく、ゲイ・シーンの内部において、ゲイたちに向かって、共有する感性を掬い上げるかたちでの作品を創り出してきたアーティストなのである。単純な露出でしかなかったポルノグラフィーに、技術的な洗練と、自らのセクシュアリティに由来するであろう独特の構図を加え、ゲイ・アートの地平を切り開いてきた。

それが可能だったのは、彼が、好事家の趣味のレベルとは異なる、写真家としてのたしかな技術を大学等で習得していたからだろう。そして、にもかかわらずゲイという視点と、そのマーケットに対する思い入れが、彼の中に強くあったからだ。

その二面性があったらこそ、若林靖宏はフォトグラファーとしての活動ばかりでなく、ゲイ・カンパニーを経営したり、新しいゲイ・マガジンを創刊してみたり、後進のゲイ・アーティストの育成に力を注いでみたり…といった裏方の仕事をも積極的に引き受けてきたのだと推測される。

また、アーティストとしても、CD-ROMやフィットネス・ビデオ、ポルノグラフィーとして評価の高いAVビデオの製作なども手掛け、単なる写真家という枠には収まりきらない才能と、好奇心の幅の広さを示してきた。何が彼を突き動かしているのかわからない。ただ、少しでも彼と言葉を交わせば、その華奢なからだの内側に、激しい情熱がいきづいていることが感じられる。

90年代も終末を迎え、ゲイ・アートの舞台は整いつつある。若林靖宏の活動が今後どのように展開していくのか予想もつかないが、「瞬間の夢」で彼が示したのは、まさにゲイ・アートが、ゲイという枠組みを超越した表現へと飛翔する瞬間のほとばしりであると、受け手は知るだろう。

(伏見憲明/評論家、ゲイ・ライター)


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